selmertsxの素振り日記

ひたすら日々の素振り内容を書き続けるだけの日記

エンジニア面接において構造化面接を取り入れる際に色々考えたときのメモ

前提

このドキュメントは、Work Rules失敗の科学 、そして Google re:Workに記載されている面接方法をベースに書いています。上記の資料について、既に古い認識になっている。またはより良い知識がある場合は、このドキュメントは既に古いものになっている可能性があります。

構造化面接とは

構造化面接とは、同じ職務に応募している応募者に対して、同じ面接方法を使って評価しようという取り組みです。 すべての応募者に同じ質問をして、同じ尺度で回答を採点し、事前に定めた評価基準に基づいて採用を決定します。

構造化面接を採用する理由

私達エンジニアは面接のプロという訳ではありません。 また、基本的にエンジニアはアピールがうまい訳ではなく、相手の良いところや、技術的な強みを見つけ出すのは面接官の力量に掛かっています。 面接に専門性を持たない我々が直感に従って面接をすれば、相手の良いところを見つけ出すことが出来ずに、誤った意思決定をしてしまうことでしょう。 そのため、面接官の力量に強く依存せずに、網羅的に相手の良さを見つけ出すための仕組みが必要となります。

Work Rulesという本において、構造化された面接を行わない場合、面接官は最初の5分で相手を判断し、残りの時間はその判断を補強することに利用してしまうと言われています。 これは人事のプロでない私達では、より顕著に出てしまう傾向だと思われます。

こうした予測は、ある人物を本当に評価するというより、その人に関する自分の考えを確証するために面接するという状況を生み出す。 心理学者はこれを確証バイアスと呼ぶ。つまり「自分の信念や仮説を確証できるように、情報を探し、解釈し、優先順位をつける性向」だ。 ごくわずかなやりとりをもとに、私達はすでに持っているバイアスや信念に強く影響された判断を、即座に、無意識にくだす。 続いて、知らず識らずのうちに、受験者を評価することから自分の第一印象を確証する証拠を探すことに重心を移してしまう。

Work Rules 5章 直感を信じてはいけない P149 

また、面接方法とその後のパフォーマンスについて分析した研究によると、構造化面接は一般的な非構造的面接と比べて2倍程度の決定係数を持つことが示されています。 さらには構造化面接は、受験者にとっても満足度が高いと言われています。

1998年、フランク・シュミットとジョン・ハンターは、面接時の評価からパフォーマンスをどこまで予測できるかという85年にわたる研究をメタ分析し、 その結果を発表した。19の異なる評価方法を調べて分かったのは、よく行われいる非構造的面接の決定係数は0.14であり、社員の職務能力の14%しか説明できないことになる。(中略)

一般認識能力テストと並ぶのが構造的面接だ(26%)。受験者は、回答の質を評価する明確な基準を備えた一連の質問に答える。調査研究ではつねに構造的面接が利用されている。その基本的な考え方は、評価の変化は面接を受ける側の回答の良し悪しの結果であり、面接者の持つ基準が高いか低いか、発する質問が優しいか難しいかは関係ないというものだ。(中略)

構造的面接は受験者と面接者の双方にとって良い経験となるうえ、最も公正だと受け取られることも分かった

Work Rules 5章 直感を信じてはいけない P156

構造化面接で用意した質問により、相手のエンジニアとしての良さを、精度高く見つけられる仕組みを作り出すことができます。 そして、事前に作成して想定回答集により、相手の技術力の評価について、チームで一貫した判断基準を持つことができます。 相手の技術的な強みを正しく見つけ出せない場合は質問項目を見直し、正しく評価できな場合は判断基準の更新します。 これらの取り組みによって、面接の精度を改善することが可能となります。

面接の基本的な流れ

事前準備: 役割分担

  • 候補者の成果物は事前に見れるようにしておく
  • メインの面接者とサブの担当者は決めておく
  • メイン担当者は質問と相手の反応の確認に注意する
  • サブの担当者は議事録の作成に注力する

事前準備: 確証バイアスの洗い出し

自分がどのような先入観を相手に持っているのかを自覚することは、先入観を取り除くためにも重要です。 そのため、事前に提出された書類やGitHubのコードから、相手に対するポジティブ・ネガティブな先入観について書き出します。

そして、それら先入観を取り除くためにどうすれば良いのか、質問に対して相手がどのように答えれば、 その先入観は誤りだったと言えるのかを確認するためにチェックリストを作ります。

面接

ここで構造化面接を行います。 もし仕組みを整えることができれば、コードを書いてみてもらうのも良いでしょう。 この内容については別の機会に書きます。

最後に

2~3ヶ月前、面接方法を考えるために僕が情報収集したときのメモを公開してみました。 採用面接については奥が深すぎて、考えると本業がおろそかになってしまう可能性もあるため、 どこまで深ぼるべきなのか...というのが人の少ないベンチャー企業にて、採用に関わっているエンジニアの正直な気持ち。 このあたりはとてもむずかしい...。

本来ならば、入社後のパフォーマンスチェックもしたいです。

しかし、まったく異なる研究結果も出ている。職種によっては、訓練や経験が何の影響ももたらさないことが多いという。何カ月、ときには何年かけても、まったく向上しないのだ。たとえば心理療法士を対象にしたある調査では、免許を持つ「プロ」と研修生との間に治療成果の差は見られなかった。同様の研究結果は、大学入学審査員(入学希望者の勧誘・選考などを行う専門職)、企業の人事担当者、臨床心理士についても出ている (マシュー・サイド. 失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織 )

とあるように、面接に関してもフィードバックループが適切に回っていなければ、自分の判断が良かったのか。悪かったのかを判断することができません。 とはいえ、人の評価はとてもむずかしいです。成果に対するその人間の貢献度合いなんて、正しく計測することはできません。 そんな中でどうやってパフォーマンスチェックするのかというのが、最近の悩みです。

構造化面接についても、自分の知識が足りなすぎて相手の良さを引き出しきれてないケースを日々実感しているので、日々精進していかなければな〜と思う所存です。

参考資料